ちょい○チラシ Vol.31 2011.12.12
 



  折込広告はどう変わるか



この稿は前号 Vol.30 「百貨店とスーパーの差別化戦略」の付記として書いたものだが、 ページ数が超過したので、一部を追加して Vol.31 として掲載した。


EDLPで折込広告は不要に
●SEIYU KY365 TIMES(11.9.15)3P掲載の

百貨店とスーパーマーケットはどちらも折込広告業界にとっては大事なお得意さんだが、 とりわけスーパー業界は、歴史的にも出稿量からみても折込広告を代表する No.1 業種だ。 ところが、スーパーが EDLP(Every Day Low Price) 路線をこのまま押し進めていくとすれば、 消費者にとって折込広告は不要なものとなる。 いつでも欲しいものが低価格で安定的に購入できるなら、論理的には特売チラシは不要となってもいいはずだ。

日本の多くのスーパーは表現こそ異なれ、 EDLP のコンセプトを標榜しており、 かつては折込広告の廃止または削減に踏み切った企業もあった。 しかし、当時は毎日チラシをチェックして買い物に行くという主婦の行動パターンを軽視したため売り上げが伸びず、 多くが元のように折込広告を復活させた経緯がある。 また消費者からみれば、 EDLP とはいうものの、スーパーの店舗では実態が伴っていなかったことを見抜いていたのであろう。

今後、コストダウンに対する厳しい企業努力と安定した調達ができる態勢が整った企業は、 EDLP の自社イメージが消費者にはっきりと認識されてきて、毎週のように折込広告を打つ必要がなくなってくる。 逆にその態勢がとれない企業は相変わらず特売チラシを打つしかないということになるかもしれない。
(*関西地区では、業態イメージが明確になっている ”Everyday, Low price!” の「業務スーパー」や 高級スーパーの代名詞的存在の「いかりスーパー」は定例チラシをまったく投入していない。)


広告の価値が逆転する時代
今の若い人が飲食店のリスティング広告(インターネット検索連動広告)をみて、 「人気がないから広告を出しているような店には行きたくない」と言うのと同様、 「折込広告を出すところは EDLP ができない企業」というマイナスの認識をされる日がやってくるかもしれない。

広告の価値が逆転してくる時代だ。消費者の行動パターンや価値観はどんどん変化している。 変化に対応できない業種や企業は、やがて市場から淘汰されていくしかなかろう。


広告媒体としてのタイムリミット
    
折込広告は2001年頃から長期低迷傾向に入り、ピーク時に比べると未だに90%レベル(関西地区)を抜け出せない。 百貨店やスーパーほどの落ち込み幅ではないが、折込業界がこのまま不作為で推移していけば同じようなジリ貧の道を進むことになる。

媒体の課題と改革についてはこのコラムでたびたび指摘してきたが、 未だに系統とか新聞販売の延長線上からの発想が多く、得意先ニーズに応えた改革の試みはほとんど見られない。 この業界のリーダーたちには楽観主義が蔓延しているのだろうか。

折込広告の母媒体たる新聞業界は、再販価格制度に守られながらも自ら破壊して首を絞め、 百年河清を待つごとく内輪の競争に終始してきた。 そのうちに、肝心要の新聞離れが進行してしまい、取り返しのつかない状況に陥ってしまった。 折込広告の世界でも同じ轍を踏んでいるとしか思えない。

     さらに折込広告にとっては、ベースとなる新聞部数の長期減少傾向が続いているなかで、 商圏内の世帯到達率が広告主の求める一定の割合をいつまでキープできるかという基本的な課題が立ちはだかっている。 つまり、広告媒体としての現状機能を維持するにはタイムリミットがあることを強く認識しておかなければならない。

残された時間はそれほど長くない。このまま“ゆで蛙”で終らないためには、 薄汚れた古いオーバーをもういい加減に脱ぎ捨てよう。 閉塞感を突破する若いポテンシャル・エ
ネルギーを解放し、 自らのサバイバルのためにどのような変化へのアクションがとれるかが真剣に問われている。



***私事で恐縮ですが、このコラムの担当をこの号で終了します。 2007年2月からこのホームページのコラムをスタートして以来ほぼ5年を経過し、 「ちょい○チラシ」はVol.31、「ウラ・オモテ」はVol.32を数えることとなりました。 この間私は61篇を執筆しましたが、そろそろ賞味期限切れでしょう。 読者の方々はすでにお察しの通り、ハンドルネームの と二の字は同一人です。
浅学非才で拙い文章のため読みづらいことも多かったと思いますが、長い間ご愛読いただくとともに、直接・間接を問わず賛同や激励のことば、 時には校正ミスをご指摘いただくこともありました。この場を借りて厚くお礼を申し上げます。
また、自由に意見を述べさせていただいた蠧廟襪砲盍脅佞い燭靴泙后
最後になりましたが、読者のみなさまの今後のご健勝を心より祈念して、結びの言葉といたします。
  ♪また いつか どこかで♪ &二の字=前田二三)***





*写真をクリックすれば拡大します。

(本文に関してのご意見等がございましたら
               お問い合わせフォーム までどうぞ)